雨、ときどき快晴。

気の向くまま、風の向くまま、生息中。ただひたすら怠惰に眠るのが、目下の夢。
気の向くまま、風の向くまま、生息中。

ただひたすら怠惰に眠るのが、目下の夢。
その背で何を思う。

その背で何を思う。

昨日は父の病院へ行ってきた。

病状が良くないので
父が人に会いたがらないのと、

あの病院独特の雰囲気や
見るからに体調が悪い父を見ると
こつぶはひどく不安になってしまうので
いつもはひとりで行くのだけれど

今回はこつぶも行きたいというので
夫も一緒に、みんなで行ってきた。

12時過ぎに家を出て
道中で父のため買い物をしたり、
こつぶのトイレのため休憩したり、
姉宅に寄ったりして
遅くなったので帰り道に夕飯を食べたりしたら
帰ってきたのは20時。
一日がかりだ。

それでも心がいつもより軽いのは
やはり家族と一緒に行けたからだと思う。


祖父母の名前を覚え、
「ママのさきばあば」
「パパのたかじいじ」と
それぞれの名前を呼び分けている娘。

祖父母にはよく会っているけれど
いつも父はそこにはいない。

「ママのじいじのお名前はなんていうの?」
「ママのじいじはどうしてあそべないの?」

少し前にわたしに尋ね、
事情を説明すると
「ママのじいじはイタイイタイで、
病院にいるんだよね」と
それからは言うようになった。

その理解があってなのか、
今回は自分も病院へ行くと言い、
家を出る前から
「しーちゃん、じいじに大丈夫?って言うの。言える」と
自分で確認していた。

でも、病院へ入ると、
父のいるところは起き上がることも
できない人が多いので、緊張してしまって
「しーちゃん、言えない。ママ抱っこして」
と一気に不安そうになった。

それでも、病室へ入り、
娘を見た父が笑顔になったのを見て
「しーちゃん言う。ママ言うから」と
勇気を出すように、自分で両手をぎゅっとにぎり、
「じいじ大丈夫?」と言ったのだった。

その、たった一言に込められた、
娘の気持ちを想う。

「大きくなったなぁ」
「おしゃべりがずいぶん上手になったなぁ」と
父はとてもうれしそうで、
わたしひとりで来た時には絶対見せないような
柔和な笑顔をしていた。

こつぶが手を差し出すと
父はふるえる手でこつぶの手をにぎり、
ずいぶんと年老いてしまった細い手と
ふっくらした幼い白い手が
しっかり握り合うのを見ていた。

このふたつの手を写真に残したい、と
衝動的に思ったけれど
目を逸らすことももったいなくて
記憶の中に残しておくことに決めた。


父に会った後、待合室でわたしの膝の上に座り、
ほぅーと小さな息をついて頬杖をつき、
「じいじのところにまた行きたい」と
言うこつぶ。

その小さな背中に今、
どれだけの安堵が拡がっているんだろう。

こつぶの記憶の中に
父の存在が残るかわからないけれど
こうして父に優しさを遺してくれたことを
わたしが娘に伝えよう。

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2014.03.11 16:35
やえ
*任&ぴぃのおかあちゃんさん

任&ぴぃのおかあちゃんさん、ありがとうございます。
本当に、わたしが何度足を運ぶよりも、
娘が少し顔を見せることのほうが
父の表情は喜んでいます。

モフモフたちを届けられたら、ホントにいいのになぁ・・
残念ながら父は記憶が混濁することが多くなり、
2ワンのことも思い出せないこともあるのですが
ハニョはとにかく父が大好きなので
ハニョが喜んでしまいそうですね。

ずっと以前、姉が入院した時に
飼っていた犬が、姉がいない不安から体調を崩してしまい、
どうしようもなかったので
バッグに入れて病院の外に連れて行き、
少しだけ姉と会わせたことがありました。
そうしたら、犬は「ここにいるんだ、ちゃんといるんだ」と
思ったのか、体調が回復しました。
不思議です。心が身体を動かすんですね。

2014.03.10 12:32
任&ぴぃのおかあちゃん
やえさん こつぶちゃんはどんなお薬よりもききめがありますね。
わたしにもこつぶちゃんとお父さんが握り合った手がしっかりみえましたよ。
そして思ったことがひとつ。
それは はにょ・しゃびちゃんとのもふもふをお父さんの病室に届けられたら・・・と。(とんでもないことでごめんなさい)
でもそこにはこつぶちゃんにむけられた笑顔とおなじ笑顔が必ずあるでしょうね。
お父さんのご体調が改善されますように。

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